温度の奪い合い(後編) R18

クーラーの温度を取り合い、お互いの体温を奪い合う。
そんなお話の後編(本番)です。

「あ、もう、もうやめっ……」

 悟浄は首輪と手首に枷を付けられ、その二つは鎖で繋がれていた。
 体を横向きに寝かせられ、後ろにはアナルプラグを片手に舌なめずりをする三蔵がいる。

「てめぇの良い所は、確かこの辺だったな」
「~~~~~っ」
「随分と良さそうじゃねぇか。これはバイブ機能も付いてるらしいぞ?」
「いや、やめろっ」
「まだ一つ目だろうが。根を上げるには早すぎだ悟浄」

 そういうと、三蔵は無慈悲にプラグのスイッチを入れた。

「ああああ、あ、いく、だめ、出る」

 ここに至るまで散々指とプラグに押し潰され、ぷっくりと膨らんだ前立腺にダイレクトに振動が伝わり、悟浄は呆気なく果ててしまった。
 それだというのに、三蔵は入ったままのプラグは動きを止めてはくれない。

「さんぞ、も、もうイった、から、止めてっ」
「バイブにも何パターンかあるらしいからな。どれが一番イイか、やってみねぇとだろう?」
「むり、無理無理無理!」
「一回でへばってんじゃねぇよ。もっといい面見せてみろ」
「いや、あ”、あ”、あ”!」

 単調だったプラグの振動が、小刻みに揺れたり、大きく叩くような動きになったり、それらを組み合わせたランダムな振動になったり。
 もう何がなんだか悟浄にはわからなかったが、三蔵が満足するまでそれは続けられた。
 快楽地獄ってのはこういうことかと、白んできた頭で悟浄は思う。

「まぁ、こんなもんか」

 しばらくしてそう言うと、ようやく三蔵はプラグを抜いてくれた。

「も、もう、むり……」

 悟浄のペニスからは既に出るものも出なくなっており、ふにゃりと力尽きていた。
 それを見ておきながら、三蔵はまだ辞める気がないらしく、新しい玩具を手に、悟浄をうつ伏せにして腰を高く上げさせる。

「なぁ、もう無理だって、三蔵、さんぞぉ」
「……てめぇの泣き顔はいつ見てもそそるだけだ。その懇願は意味が無いと気づけ」

 涙目で訴える悟浄だったが、そんなことを言われても他に取れる方法もなく、ただ三蔵の燃料になってしまうという悟浄にとって悪循環生み出してしまうだけだった。
 目元にちゅっとキスをされ、涙を吸い取られる。
 乾いた唇にもキスをされ、舐められ、三蔵は満足げに悟浄の頬を撫でた。

「仕方ねぇ。これで最後にしてやる」

 三蔵はローションを手に取ると、手のひらで温めてから悟浄のアナルに指を挿入し、ゆっくりと中に擦り付ける。
 散々弄ばれた中は熱くなっており、指で優しく撫でられるとそれだけでじわじわともどかしい快感が生まれた。
 思わずもっと強い快感を求めて腰を揺らしてしまうと、三蔵がふっと笑った。

「まだイケるじゃねぇか」
「う、るせ」

 耳を赤くした悟浄を満足げに眺めた三蔵は、手に持ったものにもローションを纏わせ、ゆっくりと悟浄の中へ入れていく。
 それは、先端から根元に向けて球体がいくつも繋がったような形をしており、その球体は根元に向かうにつれ大きくなっている玩具だった。
 球体が一つ入るたびに悟浄は呻き声を上げる。

「ッハ、これは、思った以上にイイな」

 普段はじっくり見ることない挿入の様子を、三蔵は食い入るように見つめていた。

「あ、あんま、見ん、なぁ」

 背後に熱い視線を感じて真っ赤になった悟浄は、顔を枕に押付けて涙を零している。
 その様子に三蔵はさらに下半身に熱が溜まるのを感じ、下唇を舐めた。
 球体の連なったバイブを奥まで押し込むと、悟浄の耳元に顔を寄せ、耳朶を甘噛みしながら囁く。

「奥まで入ったようだが、具合はどうだ?」
「し、らね、抜けよっ」
「ああ、良いぞ」
「えっ?」

 まさか三蔵が言うことを聞いてくれるとは思っていなかった悟浄は、驚いて三蔵の方へ顔を向けた。
 その瞬間、

「ひっ、あ”、あ”あっ」

 三蔵はギリギリまで抜いたバイブを再び奥まで押し込んだ。

「う、うそつきッ、やめっ、あ”っ」
「嘘じゃねえ。抜いて、また入れただけだ」
「この、やろ、あっ、ひ、もうやめ、ほんと、むり、ぃ!」

 ぐちゅぐちゅと音を立てながら、三蔵は何度も悟浄の奥を突いてはギリギリまで抜くのを繰り返す。
 抜く度に悟浄のアナルが少し引っ張られてピンク色が見え隠れする様は、三蔵をさらに昂らせるのには十分すぎる光景だった。
 悟浄はもはや喘ぐことしかできず、いつの間にか抗議の言葉は聞こえなくなっていた。
 本当はこのバイブのスイッチも入れようと三蔵は思っていたのだが、悟浄の様子を見るに、もう限界そうだと判断して次回へ取っておくことにしたのだった。
 抜き差しする手は止めず、三蔵の目の前に晒された悟浄の項へ躊躇わず噛み付く。

「う、ん”あ、あ”、イく、さんぞっ、いく、イくッ 」

 悟浄は項に噛み付かれたままビクビクと体を跳ねさせると、透明な液体をペニスから吹き出した。
 そして、手首と首を繋ぐ鎖の音を立てながらくたりと全身の力を抜いて横向きに倒れ込む。
 三蔵はゆっくりと、今度は再び押し込む事はせずに完全にバイブを抜いていった。
 トロりと流れ出すローションの感覚に、悟浄は小さく身を震わせる。

「悟浄」
「……はあ、はあ、はあ」
「これで、終わりだとは思ってねぇだろうな?」
「えろ坊主、あほ、鬼畜っ」
「言い返す余裕があるなら大丈夫そうだな」
「バカ、もう無理だって。しぬ、無理!」
「悪いがこっちはもう散々焦らされてんだよ」
「お前がやってんだろ! あ、やめっ!」

 悟浄にそれ以外有無を言わさず仰向けに転がし、三蔵は己のペニスを悟浄のひくつくアナルにピタリと押し当て、貫いた。

「あ”あ”あっ!」
「くっ……」

 悟浄の中はいつもより熱くうねっており、まるで溶かされてしまいそうだと錯覚する程だった。
 ならば、溶けきってしまう前に終わらせなくては。

「あ、ひっ、や、いや、さんぞ」

 散々悟浄の愛らしい姿を見た三蔵は、どれだけ嫌だと首を振られても辞めてやるつもりは毛頭なかった。悟浄の腰を掴み、左足を肩に担いだ状態で思うがままに揺さぶる。
 三蔵を止めようとする悟浄の手は、首と繋がった手枷のせいで三蔵までは届かない。
 ガシャガシャ音を立て、涙を浮かべながら必死に抵抗しようとする悟浄だったが、もはや手が届いたとしても三蔵を止める程の力は残っていなかっただろう。
 ただひたすらに襲ってくる快感の波に飲まれ、もう上も下もわからなくなって意識を手放してしまいそうになった頃、ようやく三蔵の動きが止まった。

「あ、あ、あ、んッ」

 悟浄は、三蔵が止まっても尚終わらない快感の余韻にビクビクと体を震わせている。
 悟浄のペニスからは、勢いのない液体が栓の締まりきらない蛇口のようチョロチョロと溢れ出ていた。目も虚ろで焦点が定まらず、流石にやりすぎたかと、ちょっとだけ三蔵は思った。
 クーラーの冷房で汗が冷え、風邪でも引かせたら八戒に説教されるだろう。それだけは面倒なので、とにかくまずは悟浄を綺麗にして休ませなければ。

「悟浄、起きろ」
「も、むり、やめ、ろ」
「もう終いだ。しっかりしろ」
「…………だ、誰の、せいでッ」

 キッと悟浄に睨まれるが、三蔵は全く意に介さない。
 結局、動けない悟浄をゴロゴロ転がしてなんとかシーツは取り換え、三蔵が甲斐甲斐しく体を拭いてやることになったのだった。





 後日ーーー

「三蔵、通販禁止! 余計なもの買いすぎ!」

 久々に帰ってきた悟空にダンボールの山を見られた三蔵は、ネット通販禁止令をだされるのであった。
 ムスッと不機嫌になる三蔵に対し、嬉しくて悟空に飛びくほど悟浄が感謝をしたのは、無理もない話である。

 ただし、ネット通販の代わりに買い出しをしてこいと三蔵に言われることの増えた悟浄は、どっちの方がマシだったのかと真剣に悩むことになるのだった。