単話など
その答えは
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3は見てないようでよく見てるから、5が雑誌でじっと見てたとか、街でチラッと気にしてたのよく覚えてるよね。
不意に「行くぞ」とか言って見てたとこ連れてってくれたりするスパダリだと思う。
#1日1三浄
そう、例えば街中をぷらぷら歩いていたとする。すると、突然手を引かれて予定外の方に行くことがちょいちょいある。
「どこ行くの?」
そう聞くと、こちらをチラリと振り向いて、やっぱりなんにも言わずにどんどん歩いて行く。
こうなると俺ももう諦めて、肩を竦めながら大人しく着いていくんだけどさ。
「着いたぞ」
そう言われて周りを見ていた目線を正面に戻すと、まぁ大抵は食べ物の屋台だったりアクセサリーを売っている店だったりする。
「この間、見てただろ」
そう言うと、ジッと俺の方を見るから(やっぱりな)と思って笑ってしまうのだ。
「……」
笑うとムッとした顔をするのがまたおかしくて、だけどそれ以上にちゃんと嬉しいんだよ。なあ三蔵。
だから、
「そうそう、気になってたんだよココ。ありがとな」
そう言えば、満足そうな顔で煙草を取り出し火をつける。待ってるから行ってこいという合図だ。
「一緒に行かねーの?」
一応聞いてはみるが、外の屋台なら一緒に並ぶこともあるけれど、それは大抵甘味がある時であとは来ない。
そりゃそうだよな。こいつの目的はここに来ることではなく、俺を連れてくることなんだから。
もうやることやってお仕事終了モードってわけだ。
「じゃ、イイ子で待っててね?」
「ッフン」
もう既に、自分が何を気にしてこの店に来たかったのか忘れてることもあるんだけどさ。
三蔵が普段から俺のことをよく見ていて、何を気にしていたか覚えてくれているってのはもう……
────愛、だよな?